アーバンデータチャレンジ(UDC)2024の中間シンポジウムを11月8日(金)に宮城県石巻市にある石巻市ささえあいセンター ささえあいホールで実施しました。昨年同様、今回もオンラインを併用したハイブリッド形式のイベントとして開催致しました。
昨年UDC2023にて活動で最も優れた地域拠点に送られる「ベスト地域拠点賞」を「宮城ブロック」が受賞されたことに伴い、今年度のUDC中間シンポジウムは宮城県で開催されることとなりました。
石巻市副市長の渡邉伸彦氏が登壇し、地域の復興におけるデータの役割について力強いメッセージを送りました。渡邉氏は、震災からの復興は単なる物理的再建にとどまらず、地域住民の絆とデジタル技術の融合によって新しい未来を築いていくことが大切だと述べました。彼はまた、震災から学んだ教訓を活かしてより強靭な地域社会を築くために、データを活用することへの期待を表明しました。
東京大学空間情報科学研究センターの教授であり、AIGID代表理事の関本義秀よりUDC2024について、プロジェクトの背景と目指すべき未来像について語りました。データ駆動型社会の到来が地域社会に与える影響を述べながら、アーバンデータチャレンジが地域住民と行政、企業が協力してデジタル社会を構築するための橋渡し役を果たしていることを強調しました。
株式会社テセラクトの小泉勝志郎氏が、「震災復興からAIアートまで:データ活用とコミュニティの力」と題して講演しました。小泉氏は、震災後の復興にデータがどのように活用されたか、具体的な事例を交えて紹介しました。さらに、近年の進化したデータ技術がAIアートなど新しい創造的な活動と結びつき、地域の活性化に貢献していることを説明しました。デジタル技術が人々をつなぎ、コミュニティの中に新たな価値を生み出していく様子を、印象的なエピソードを交えて語りました。
特定非営利活動法人とめタウンネットの足立千佳子氏が、「震災から13年。宮城の今。」と題して講演しました。足立氏は、震災直後からの地域の歩みを振り返り、復興の中で直面した課題とその解決におけるデータ活用の役割を解説しました。また、住民主体の活動がどのようにデジタル技術と結びつき、地域の課題解決に役立ってきたかを、具体的なエピソードを交えて述べました。足立氏は、震災の経験がデータと地域社会のつながりの重要性を再認識させたことを強調しました。
石巻専修大学経営学部の浅沼大樹教授が、「深化するデータ時代への適応について」というテーマで講演を行いました。浅沼氏は、進化を続けるデータ社会において地域コミュニティがどのように適応し、発展していくべきかを深掘りしました。具体的には、情報マネジメントの視点から、地域の持続可能な発展に向けたデータ活用の重要性を指摘し、今後の社会がどのようにデータとの共存を図るべきかについて提言しました。新しい技術に適応するだけでなく、データがもたらす社会変革に対する積極的な取り組みが必要であると語りました。
UDC宮城拠点が、「データ収集に視点を 〜石巻みんなのトイレマップから、伝えたいこと」と題して講演しました。石巻市内の公共トイレ情報をマッピングする取り組みを紹介し、地域住民の視点を反映させたデータ活用が地域コミュニティの利便性向上にどのように貢献しているかを説明しました。さらに、このプロジェクトが、地域の安全や利便性の向上を図ると同時に、災害時の緊急対応の一環として役立つ点を強調しました。
全国の地域拠点からコーディネーターが登壇し、それぞれの地域で行われているデジタルコミュニティ形成の取り組みを報告しました。岐阜、福岡、埼玉、千葉、徳島、佐賀、神奈川、奈良といった拠点ごとに、地域独自の課題に対応するためにデータがどのように活用されているかが紹介されました。報告内容には、地域の伝統とデータ技術の融合、地域住民を巻き込んだプロジェクトの成功事例などの発表がありました。
最後に、関本が再び登壇し、イベント全体を振り返る総括の挨拶を行いました。本日の議論や発表を通じて、データ活用がどれほど地域コミュニティに活力を与えるかを再認識したと述べました。そして、これからもデータと地域社会が協力し合い、未来を築くための持続可能な取り組みを継続することの重要性を強調し、参加者に感謝の言葉を述べてイベントを締めくくりました。
- なお、参加人数は以下の通りでした。
- 現地参加: 25名
- オンライン参加:65名
中間シンポジウムの様子を収録したアーカイブ動画は、YouTubeにて公開しております。