UDC2017データ部門 審査委員長講評

UDC2017審査結果

【データ部門 審査委員長講評】

鈴木茂雄
ESRIジャパン株式会社
事業推進・ビジネス開発 統括
データ部門に応募した26作品の中から、4作品が最終審査会へは進みました。今年は部門間共通の特徴としてGTFS関連作品応募が複数あり、公共交通データへの関心の高さが伺えました。例年シビックテック活動の過程で生まれたデータが本部門に応募されますが、データ数が少ない作品、および、地域課題との関連性の薄い作品の多くは今年の最終審査会進出を逃しました。

一次審査では、空間データセットとしての完成度の高い応募作品と空間データ作成ツール(検証・実証データ付き)がトップ集団を構成しました。最終的に一次審査を通過作品は、東大からの3作品と手練れのOSMマッパーからの応募の計4作品でした。データ部門は、さながらg-空間、オープンデータ、OSM界のプロアマオープンの様相を示し、やはり空間情報のプロは強かったという結果でした。残念ながら、データ部門からデモデイの情熱枠復活を狙った応募はありませんでした。

その中で金賞を受賞した「全天球カメラによる歩道現況調査」は、会津若松からの画像投稿量を世界に誇るOSMマッパーによる、市の要請を受けたバリアフリー歩道現況調査をカメラレンズの偏歪補正スケールと自転車を使って効率的に実施するという、ユニークな新手法の可能性を実証した作品です。効果的、かつ、軽妙なプレゼンで、オーディエンス投票を多数獲得し、一次審査の得点差を覆して逆転受賞しました。計測精度、段差計測不可等の課題はあるものの、新規性、有用性、将来性、展開性のいずれの審査基準でも高評価でした。

惜しくも銀賞の「衆議院小選挙区ポリゴンデータ及び国勢調査小選挙区集計データ」は、複雑なライセンス処理が求められる空間データのオープンデータ化の手本となる作品です。日本の選挙区・行政界・国勢調査データを統合する際に直面する多くの課題解決手法とデータ出自の詳細解説をデータと合わせてタイムリーに公開したもので、今後永くEBPM等の多様な分野で利活用される有用性が高い作品です。

銅賞の「Ubiquitous Surveying ~暮らしを支える公共測量~」は、公共測量データをオープンデータ化して日本の公共事業と測量技術の歴史に新たな視点を加えました。

入賞を逃した「GTFS OSM-EX」はツールと機能実証用空間データ共にオープンデータとしての公開が不完全である点が惜しまれます。

今後、UDCを通じて“Open Minds to Open Action”の精神により、日本の産官学からG空間情報のオープンデータ公開が進むことを念じて止みません。
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