UDC2017アプリケーション部門 審査委員長講評

UDC2017審査結果

【アプリケーション部門 審査委員長講評】

伊藤昌毅
東京大学生産技術研究所/UDC2017実行委員
アーバンデータチャレンジ アプリケーション部門は、本年度71件の応募があり、そのうち7件を1次審査通過作品としました。これにデモ・デーで情熱枠として選定した1作品を加えた合計8作品を最終審査会でプレゼンテーションして頂き、その中から金賞、銀賞、銅賞を1件ずつ選定しました。

一次審査では、各アプリケーションを「新規性」「有用性」「将来性」「展開性」という観点から評価しましたが、今年の応募作品には、アイディアや完成度に光るものを持つ作品が多数あり、最終的に、当初の予定数以上の作品を一次審査通過作品に選出しました。

また、発表だけでは伝えにくいアプリの魅力を伝えるために、前日にデモ・デーをもうけ、一次審査の結果に関わらず作品を展示して頂くことにしました。アプリ部門からは5件のデモ発表を頂きましたが、アプリの魅力をじっくり伝える場になっただけでなく、応募者同士の交流になったのは喜ばしいことでした。本チャレンジのように、市民中心の活動では、どうしてもアプリという形まで作り込める人が限られてしまいます。その、限られた「作れる」人がアイディア部門の応募者などとも交流を持てたのは、デモ・デーの大きな成果でした。

以下、発表頂いた各作品の講評です。

VALON(1次審査通過)
災害用の自動販売機の位置を把握出来るアプリケーションであり、着眼点が興味深いです。デザインも含めしっかり作られているので、プレゼンテーションにおいてももう少し効果的にアピール出来ればよかったと思います。

めくるんの交通安全・日めくるん(1次審査通過・銀賞)
交通事故データを身近に使用という試みですが、日めくりカレンダーとしての作り込みが素晴らしいです。これからの発展として、話題性を追求する「おもしろアプリ」を目指すのか、交通事故予測の精度を高める方向に行くのか、いずれにしても是非一般公開して広く使って頂けるといいと思います。

室蘭百名坂(1次審査通過)
地域の中で、アイディアソンに出たアイディアを実装したというコラボレーションが素晴らしいです。「パン」という単位で坂を表現するアイディアなど作り込みもいいです。アプリとしてダウンロード出来るので、是非使ってみてください。

osm2RRSgml(1次審査通過)
RoboCup Rescue SimulationというレスキューロボットのコンテストにOpenStreetMapのデータを取り込むというアプリです。アピールが難しい玄人受けするテーマですが、応募者の着想と、これを評価したUDCの懐の深さを感じました。

御願(うがん)マイスター(1次審査通過・銅賞)
まさに地域課題といえる課題を深く掘り下げた提案でした。デモも面白かったですし、ITならではの地域文化の保存や継承を感じさせる作品でした。実は1次審査の点数はそこまで高くなかったのですが、投票の結果で逆転、銅賞となりました。

「互助」×「ICT技術」を活用した「みまもりあいプロジェクト」(1次審査通過・金賞)
圧倒的に完成度が高く、実績もあります。1次審査の点数も会場からの投票も1位と貫禄の金賞受賞です。地域課題を解決するすばらしい提案であることは間違いないですし、是非今後とも開発や活動を続けて、拡げていただきたいと思います。

ひなたGIS for Civic Tech(情熱枠による選出)
1次審査を通過しなかったのを不思議に思ってしまう完成度で、当日の投票も2位と発表でのアピールもよかったです。一見よくあるWeb GISですが、この作品の凄みは、デモ・デーにおいて作者がコーディングする姿を見せていたように、桁外れの情熱を持った開発者が育て続けているという点にあります。ソフトウェアは、個人の情熱で作ることができ、それが時に世界を変える力にもなるのだ、ということを思い起こさせる作品でした。

wikiコンシェルジュ岡山(1次審査通過・学生奨励賞)
Wikipediaの編集の活発さを観光地の人気や価値と見なすアイディアが面白かったです。学生による作品ですので、ぜひこれから、仮説がどこまで正しいか検証までして頂けたらと思っています。

また、1次審査を通過しなかった作品についてもコメントします。

今回実行委員会特別賞となった西沢明氏の「標準的なバス情報フォーマット作成ツール」は、元々アプリケーション部門への応募作品でした。この作品は、国土交通省における実証実験や、アクティビティ部門で1次審査を通過した「公共交通GTFSチャレンジ」において用いられているなど、本年度多くの応募があった公共交通データの整備においてもその価値は十分認められております。アプリケーション部門の作品として顕彰するのに十分な作品だったのですが、西沢氏自身が実行委員の一員であり、他にデータ部門でも高評価の作品を応募していることなどを総合的に勘案して、実行委員会特別賞という形で表彰することにしました。

本年度の審査では、審査員による事前の評価と会場からの投票結果の傾向が大きく異なるという感触がありました。それだけ激戦であったとも言えるのですが、地域の課題解決に貢献する作品」という大きな方向性は共有していても、どのような基準で点数を付けるべきか、審査基準なども考え直す必要があるのかもしれません。また、デモ・デーはアプリケーション部門の応募作の魅力を伝えるとてもよい試みだと思いました。来年以降、さらに盛り上がるような工夫が出来たらと考えています。
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